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私の体験を元にしたフィクションです。

最後まで、聞いてくれる人

友人の声を待つ間に、妻へ初めて借金を話したときのことが浮かびました。最初に打ち明けた相手は妻でした。妻に話してからも、友人の前では、まだ余裕のある自分のままでいたかったのです。

あのときも、私は言葉を探していました。向かいに妻が座っています。机の木目を目でなぞりながら、「話していないことがあるんです」と切り出しました。そこまで言っても、肝心の言葉が続きませんでした。妻は急がせず、私の方を見ていました。

「借金が、あります」。口にしてしまうと、もう言っていないことにはできませんでした。私は、続けて何かを言おうとしました。理由や経緯を、早く並べなければいけない気がしたのです。けれど、妻が先に「まず、聞かせて」と言いました。私は持ち上げかけた手を机へ戻し、途切れながら話し始めました。

耳元で友人の声がしました。思い出の食卓から、今夜の部屋へ引き戻されました。いつもと同じ調子で私を呼ぶ声に、かえって喉が詰まりました。「投資のことは、話していましたよね。その先の話を、していませんでした」。私はそこで一度止まり、借金のことを伝えました。

驚かれることよりも、その後が怖かったのです。見下されるのではないか。これまでの自分が、全部、嘘だったように思われるのではないか。相手が黙るたび、言い訳を足したくなりました。けれど友人は、私が話し終えるまで聞いてくれました。

自己破産を覚悟した私は、親や家族、会社の人にも伝えました。話す前には、同じ不安が何度も戻ってきました。会社では足元を見られるのではないかと思い、いつもならすぐに入れる場所の前で、足を止めました。それでも、一人ずつ話しました。

周りの人たちは、私が想像していたようには慌てませんでした。落ち着いて話を聞き、これからのことを一緒に考えようとしてくれました。張りつめていた話の合間に、いつものように笑ってくれる人もいました。私は、その声を聞いてようやく相手の顔を見ました。

借金を話したからといって、お金が戻ったわけではありませんでした。それでも、電話を終えて机へ置いた手は、かける前より少し軽くなっていました。うまく話せなかった箇所もあります。言い直したこともあります。それでも、最後まで聞いてもらえました。

まずは、自分の現在地を見るところから

私も、最初は自分の立ち位置を知るところからでした。収入・生活費・借入を、分かるところから一緒に整理してみませんか。

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